吃音の原因は緊張やストレスは関係するのか?また、その対策は? - HAPPY FOX

吃音の原因は緊張やストレスは関係するのか?また、その対策は?

  1. 吃音症の知識
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今回は吃音の原因について紹介します。緊張やストレスがどのように関係するのかも解説します。

吃音の原因はさまざま言われていますが、学校での発表や就職試験の面接など、普段あまり経験しないような緊張する場面や人前では、吃音の症状がひどくなると感じる人が多いはずです。

この記事では、吃音と緊張やストレスの関係性について詳しく紹介します。また、緊張する場面でリラックスするというのは、実際に効果があるのかという研究結果も紹介します。

自分の結論の原因と緊張やストレスとの関係を理解することで、いろんな場面で吃音を上手にコントロールしていくことができ、小さな成功体験をたくさん積むことができると思います。参考にしていただければ嬉しいです。

緊張やストレスで吃音が悪化する2つの理由

1,緊張がストレスで身体が上手く話せない

一つ目は、緊張やストレスが吃音の発生や持続に関係する神経系や筋肉系に影響を与えることです。

緊張やストレスが高まると、呼吸や発声、発音などの話すための運動が不安定になり、吃音が起こりやすくなります。

また、緊張やストレスが高まると、自分の話し方に対する注意や評価が増え、自己意識が高まります。これも吃音を引き起こす要因の一つです。

緊張で声が出なくなる「バルサルバ反射」

吃音がある人は話している最中に、言葉が次の言葉で集まってしまうことを、直感的に感じることがあります。これはバルサルバ反射と呼ばれます。この感覚は、緊張やストレスの高い場面で起こることがよくあります。

バルサルバ反射とは、何かに驚いたり緊張したりしたときに筋肉が勝手に固まってしまう現象のことです。たとえば、高いところから下を見たら足が動かなくなったり、話そうとしたら声が出なくなったりするのは、バルサルバ反射のせいです。

この現象は、呼吸を止めて力むことで起こるバルサルバ効果とは異なり、自分の意思とは関係なく起こるものです。

2,緊張やストレスが消極的な行動にする

もう一つの問題は、吃音者の心理的な苦痛が緊張やストレスによって増幅されることです。

吃音者は、話すことに対して恐怖や不安を感じることが多く、社交的な場面で話すことを避けたり、自分の能力や価値を低く見積もったりする傾向があります。

これらの感情は、緊張やストレスが高まるとさらに強まります。また、緊張やストレスが高まると、吃音者は自分の吃音をコントロールしようとして無理な努力をします。

しかし、このような行動は逆効果であり、吃音を悪化させるだけでなく、自己信頼心や自尊心を低下させます。

吃音者は話すことに緊張しやすい

吃音者は話すときに緊張すると言われていますが、それは本当だと思いますか?

また、その緊張が吃音の重症度にどのように影響するのでしょうかを調べた研究もあります。

この研究は、吃音者の脳波や心拍数などの生理学的指標を測定して、緊張の度合いや影響を調べる研究が行われています。

吃音者は特に電話対応で緊張しやすい

例えば、吃音者と非吃音者を対象に、自己紹介や電話応対などの話し方によって異なるストレスレベルを設定し、そのときの脳波や心拍数を測定するという実験があります。

この実験では、吃音者は非吃音者よりも脳波や心拍数が高くなることが示されました。

特に、電話応対は吃音者にとって最もストレスが高い話し方であり、そのときの脳波や心拍数は自己紹介よりも有意に高くなりました。

また、吃音者は電話応対では非流暢発話が増えることも分かりました。

これらの結果から、吃音者は話すときに生理学的に緊張することが分かります。また、その緊張が吃音の発現や重症度に影響することが推測できます。

このように、吃音者の脳波や心拍数などの生理学的指標を測定して、緊張の度合いや影響を調べる研究は、吃音のメカニズムや治療法の開発に役立つ可能性があります。

吃音者の自己評価と緊張感の関係

吃音者は、発話に際して非流暢さや不安を感じることが多く、自己や吃音に対する否定的な評価を持ちやすいと言われています。

このような自己評価や他者評価は、吃音の症状や心理的な苦痛に影響を与えると考えられます。

そこで、こんな研究があります。

吃音者の自己評価や他者評価の特徴と、それらが緊張感や吃音中核症状に及ぼす影響を検討しました。また、吃音者が自己を肯定的に評価するための要因や対処法についても探りました。

自己評価が低いほど吃音が悪化する

具体的には、成人吃音者50名に自己・吃音評価尺度、緊張感尺度、吃音中核症状尺度を回答してもらい、それぞれの尺度の得点と相関関係を分析しました。

その結果、自己評価や他者評価が低いほど、緊張感や吃音中核症状が高くなることが明らかになりました。

また、自己評価や他者評価が高い吃音者は、思春期に吃音肯定の考えに出会ったり、吃音に理解のある人と交流したりする経験をしていたことが分かりました。

これらの経験は、吃音者が自分を受け入れることや、吃音に対する不安や恐怖を減らすことに役立つと考えられます。

自己評価が低いと悪循環が起こる

この研究からわかることは、自己評価や他者評価が低いほど、例えば緊張感がどうで吃音の症状がひどくなるということです。しかし、どちらが原因で、どちらが結果なのかは、この研究では特にわかっていません。自己評価や他者評価が低くなっているのか、それとも自己評価評価の低い人が症状が重症化しやすくなっているのかはわかりません。

しかしながら、自分でコントロールすることを考えた場合、他者評価や吃音の重症度へと、なかなか自分でコントロールすることができません。しかし、自己評価の部分はコントロールできるので、自分の吃音の症状を改善させるには、まず自己評価を高めることを考えてみると、良い結果が得られるかもしれません。

リラックスするって本当に効果があるのか?

この記事では、吃音の原因の一つとして、緊張やストレスによって吃音の症状が悪化することを紹介してきました。

そこで、緊張やストレスを改善したりリラックスすることで、実際に吃音の症状が改善するのかを知る必要があります。そこで、緊張やストレスを取り除くと吃音が改善するのかを検証した研究を紹介します。

吃音治療と自己評価の向上は両立がオススメ

この研究では、成人の吃音者30人を2つのグループに分けて、一方にはリラクゼーションと認知行動療法の組み合わせ、もう一方には通常の吃音療法を8週間にわたって提供した。その後、各グループの吃音の頻度や重症度、社交不安や自己効力感などの心理的指標を測定した。

その結果、リラクゼーションと認知行動療法のグループでは、吃音の頻度や重症度が有意に低下し、社交不安や自己効力感が有意に向上したことが分かった。

一方、通常の吃音療法のグループでは、吃音の頻度や重症度には変化が見られなかったが、社交不安や自己効力感は有意に向上したことが分かった。このことから、成人の吃音者に対しては、リラクゼーションや認知行動療法などの心理的介入が有効であると考えられる。

緊張やストレスをコントロールする

この記事では、吃音は、緊張やストレスによって悪化することがあります。また、緊張やストレスは、自分自身の吃音だけでなく、精神的な自己評価を下げてしまうことによって、悪化する悪循環もあります。

自分で吃音の症状をコントロールすることはできませんが、リラックスする方法や自己評価を上げるトレーニングを知っておくことで、間接的に症状を改善することができます。さらに、自己評価を改善することで、自分自身の行動も積極的になり、好循環につながると考えられます。

吃音の症状を改善したいという気持ちはわかりますが、自分自身がコントロールできる部分から改善していくようにしましょう。

なおき

3歳の頃から吃音を発症。

日本吃音協会で同じ吃音者と出会い「同じ吃音者でも様々な意見や価値観の人がいる」と知りました。

吃音悩む人が少しでも少なくなればいいと思い、記事を作成しています。

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