吃音改善のトレーニング!間接法の認知行動療法の実践方法を紹介 - HAPPY FOX

吃音改善のトレーニング!間接法の認知行動療法の実践方法を紹介

  1. 吃音の治し方・克服方法・トレーニング
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吃音は、言語的な要因だけでなく、心理的な要因も関係しているため、心理的なアプローチが有効です。

認知行動療法は、吃音に対する恐怖や不安を減らし、自分の話す能力や価値に自信を持つことができるようにする治療法です。

この記事では、認知行動療法の概要や具体的な実践方法、対象となる人、効果などについて詳しく説明しています。

1.認知行動療法を使った吃音治療の概要

吃音とは、話す際に発声や発音が途切れたり、繰り返したりする現象です。吃音は、言語的な要因だけでなく、心理的な要因も関係しています。

吃音者は、自分の話し方に対して否定的な思い込みや感情を持っていることが多く、それが吃音を悪化させる悪循環に陥っています。

そこで、吃音治療においては、発声や発音の技術的な指導だけでなく、心理的な側面にもアプローチする必要があります。その一つの方法として、認知行動療法が有効です。

2.吃音治療での認知行動療法とは

2-1. 認知行動療法の定義

認知行動療法とは、自分の考え方や感じ方、行動パターンを客観的に観察し、不適切なものを修正することで、問題を解決する心理療法です。

認知行動療法では、自分の考え方や感じ方が自分の行動や結果にどのように影響しているかを明らかにし、より適切な考え方や感じ方を身につけることで、自分の目標に近づくことを目指します。

2-2. 認知行動療法が吃音改善に与える影響

吃音者は、自分の話し方に対して否定的な思い込みや感情を持っています。例えば、「話せない」「嫌われる」「恥ずかしい」などです。

これらの思い込みや感情は、吃音者の話す際の緊張や不安を高め、吃音を引き起こす原因となります。また、吃音者は、自分の話し方に対して過剰に注意を向けてしまい、話すこと自体が苦痛になります。

これらのことから、吃音者は話す機会を避けたり、話す内容を制限したりするようになります。これは、吃音者の社会的な活動や人間関係にも悪影響を及ぼします。

認知行動療法では、吃音者は自分の思い込みや感情を客観的に検証し、それらが事実に基づいているかどうかを確かめます。また、自分の思い込みや感情が自分の話す際の行動や結果にどのように影響しているかを理解します。

そして、より現実的で建設的な思い込みや感情を形成し、それらに基づいて話すことに挑戦します。これにより、吃音者は自分の話し方に対する否定的な評価を減らし、自信や楽しさを取り戻すことができます。

また、吃音者は自分の話し方に対する過剰な注意を解放し、話す内容や相手に集中することができます。これは、吃音者のコミュニケーション能力や社会的な適応力を高めます。

認知行動療法は、吃音者が自分の話し方に対する認知や感情を変えることで、吃音の発生頻度や重度を低下させるだけでなく、吃音者の生活の質や幸福感を向上させる効果があります。

3.吃音治療での認知行動療法の目的と内容

3-1. 否定的な思考の変容

否定的な思考とは、自分の話し方や能力に対して過度に批判的で現実と合わないような考え方です。

例えば、「私は話せない」「私は人前で話すと必ず吃る」「私は吃るから嫌われる」といった思考です。

これらの思考は、吃音者の自信を奪い、話すことへの恐怖や回避を強化します。認知行動療法では、否定的な思考を客観的に検証し、より現実的で肯定的な思考に置き換えることを目指します。

例えば、「私は話せる」「私は人前で話すと時々吃るけど、それでも伝えたいことがある」「私は吃っても人間として尊重される」といった思考です。

3-2. 自己評価の改善

自己評価とは、自分自身に対する価値観や判断です。吃音者は、自分の話し方に過度にこだわり、自分の価値を話し方に左右されると思い込んでしまうことがあります。

つまり、「話せることができれば良い人間だが、話せないことができれば悪い人間だ」というような極端な考え方を持ちます。これは、吃音者にとって非現実的で過酷な基準であり、自己評価を低くする原因となります。

認知行動療法では、自分の価値を話し方だけでなく、他の多様な要素に基づいて評価することを学びます。例えば、「私は話せることもできれば良いが、話せないこともできれば悪いわけではない」「私は話し方以外にも長所や短所がある」「私は他人からも様々な評価を受けている」というような考え方を持ちます。

3-3. 感情のコントロール

吃音者は、話すことに対して強い恐怖や不安を感じることがあります。これは、吃音することで自分や他人から否定されるという思い込みから生じます。

認知行動療法では、感情の原因や影響を理解し、感情を適切に表現する方法を学びます。例えば、「私は話すことに対して恐怖や不安を感じているが、それは私の思い込みから来ている」「私は感情を抑え込むのではなく、適度に表現することができる」「私は感情に振り回されず、冷静に対処することができる」というような考え方を持ちます。

4.認知行動療法の対象と効果

認知行動療法は、吃音に対する恐怖や不安、自己否定などのネガティブな感情を減らし、自分の話す能力や価値に自信を持つことで、吃音の発生頻度や重度を低下させることができます。

認知行動療法は、吃音に悩む人の多くが対象となりますが、特に吃音に対する強い恐怖や回避行動がある人、吃音が自己評価や社会的関係に大きな影響を与えている人に有効です。

4-1. 青少年への適用

認知行動療法は、青少年期に吃音が発生する人にも適用できます。青少年期は、自己意識が高まり、他者からの評価や期待に敏感になる時期です。そのため、吃音が自己イメージや社会的役割に大きな影響を及ぼす可能性があります。認知行動療法は、青少年期の吃音者に対して、自分の吃音に対する考え方や感じ方を客観的に観察し、現実的でポジティブなものに変えることを支援します。また、吃音に関する正しい知識や理解を深めることで、吃音への恐怖や不安を減らし、自分の話す能力や価値を認めることを促します。

4-2. 効果:恐怖の緩和、自己効力感の向上、自尊感情の改善

認知行動療法は、吃音に対する恐怖や不安を減らし、自分の話す能力に自信を持つことができるようにする治療法です。

自分の話すことに対する否定的な思い込みや評価を変えることで、自尊感情も高まります。

認知行動療法は、以下のような実践方法で行われます。

  • 吃音の原因やメカニズムについて学ぶ
  • 吃音に関する誤った信念や思考パターンを特定する
  • 吃音に関する思考や感情の記録をつける
  • 吃音に関する思考や感情を客観的に検証する
  • 吃音に関する思考や感情を肯定的なものに置き換える
  • 吃音への対処スキルを身につける
  • 吃音への適応度を高めるための目標設定と行動計画を立てる
  • 吃音への挑戦的な状況に積極的に取り組む

吃音治療での認知行動療法の実践方法

5-1. トレーニングの回数と手順

認知行動療法は、吃音の原因や影響に関する認知や感情を変えることで、吃音の症状や苦痛を軽減する治療法です。トレーニングの回数や手順は、個人の状況や目標に応じて調整する必要がありますが、一般的には以下のような流れで行われます。

  • まず、吃音に関する自己評価を行います。自分の吃音の特徴や頻度、吃音に対する思いや感情、吃音がもたらす影響などを客観的に把握します。
  • 次に、吃音に関する認知や感情の歪みを見つけ出します。吃音に対する過剰な恐怖や恥ずかしさ、自己否定や劣等感、他人の評価への過度な気遣いなどを特定します。
  • その後、歪んだ認知や感情を修正するための技法を学びます。合理的な考え方や自己肯定的な言葉かけ、リラクゼーションや呼吸法などを習得します。
  • 最後に、修正した認知や感情を実際の話し方に反映させるための練習を行います。自分の話し方に自信を持ち、吃音を恐れずに積極的にコミュニケーションをとることを目指します。

トレーニングは、週に1回程度、約1時間から2時間のセッションで行われます。セッションでは、カウンセラーやセラピストと一対一で話し合ったり、グループで意見交換したりします。トレーニング期間は、個人差がありますが、約3ヶ月から6ヶ月程度が目安です。

5-2. 注意点:併用療法の検討

認知行動療法は、吃音治療の中でも有効性が高いとされる治療法ですが、それだけでは十分な効果が得られない場合もあります。

特に、吃音が重度であったり、他の精神的な問題を抱えていたりする場合は、他の治療法と併用することを検討する必要があります。

併用できる治療法としては、以下のようなものがあります。

  • 薬物療法:抗うつ薬や抗不安薬などを服用することで、吃音に関連するストレスや不安を軽減することができます。ただし、副作用や依存性に注意する必要があります。
  • 言語聴覚療法:発声法や発話法などを学ぶことで、吃音の発生を抑えることができます。カウンセラーやセラピストと一対一で指導を受けたり、グループで実践したりします。

6.まとめ

6-1. 認知行動療法による吃音改善の効果

認知行動療法は、吃音に対する不適切な思考や感情、態度、行動を修正することを目的とする心理療法です。吃音のある成人は、発話の流暢性に過度に注意を向けることで、吃音症状を悪化させたり、社交不安やコミュニケーション困難を引き起こしたりすることがあります。

認知行動療法では、吃音に対する否定的な自動思考や認知的仮説を特定し、それらを修正するための技法を学びます。また、吃音への予期不安や回避行動などの対処方法を変えるために、曝露療法や注意分散法などの技法も用います。

これらの技法によって、吃音に対する認知や感情が変化し、吃音症状や社交不安が軽減されることが期待されます。

6-2. 吃音改善への継続的な取り組みの重要性

認知行動療法は、吃音改善のための有効な手段であるが、それだけでは十分ではありません。

吃音は多因子モデルによって説明されるように、生物学的・心理学的・社会学的な要因が複雑に関係している言語障害であるため、吃音改善への取り組みは、これらの要因に対応した多面的なアプローチが必要であると考えられます。

例えば、言語面での支援として、発話運動制御の向上や言語能力の強化が挙げられます。また、自己像面での支援として、自己受容や自己肯定感の向上も重要です。

吃音改善への取り組みは一朝一夕には成果が現れないことも理解しなければならず、吃音は発達段階から持続している場合が多いため、長年積み重ねられた思考や感情、態度、行動を変えることは容易ではありません。

そのため、吃音改善への取り組みは継続的かつ長期的に行う必要があるとされています。その際には、専門家や家族や友人などのサポートも大切とされています。

なおき

3歳の頃から吃音を発症。

日本吃音協会で同じ吃音者と出会い「同じ吃音者でも様々な意見や価値観の人がいる」と知りました。

吃音悩む人が少しでも少なくなればいいと思い、記事を作成しています。

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